ホはホログラムのホ PartII

来年の私より今の私の方が若い

2024年 読書記録(4)

3月はありがたいことに
お仕事がずっと続いて、

のんびり読書する時間や
気力が持てず、

さらに、
読もうと思っても

目が疲れすぎて
ぼんやりして字が追えない
というような
悲しくなるような理由で

ほとんど読めませんでした。


でも、
自分としては大きな収穫が。



11
草を結びて環【たま】を銜【くわ】えん



これが、
めちゃくちゃ面白かったのです。

7つの短編が収録されていますが、
ひとつひとつ、
その世界観に入り込み、

自分がその場にいるような
没入感。

やはり表題作がいい。

私に才能があれば、
この作品を原作にした映画を撮る!

全員のキャラが立ってるし、
映像もはっきりと思い浮かぶし、

なんといっても、

「あたしは自分にできるどんな方法を
 使っても、天の不公平な
 計画の裏をかきたい。

 たとえほんのわずかでも、
 運命に逆らうのは
 あたしを幸せな気分に
 させてくれるのさ」

という緑鶸の勇気と才覚、
そして悲運。

果たして彼女は
不幸だったのか?

そうとは限らない。

悲しいお話とも言えなくはないが、
読後感はなぜか暗くない。



その他の作品も、

「おれたちはみんな、
 普通じゃない選択肢を
 突きつけられた普通の人間だ」

     ――訴訟師と猿の王より


中国・台湾・香港の
自由を求める人々の姿にも重なる。

完全無欠で聖人君子な英雄はいない、
それでも、

「英雄的な理想が、
 おれたちを化身にしたがる
 ことがあるのさ」。



もう一つ、
印象的だったのは
「シミュラクラ」という作品で、

ある過ちを犯した瞬間のために、
人生すべてをそこに凝縮させて
押しつぶさせてしまった、

その過ちは罪深くはあるけれど、
その人間のごく一部に
すぎないものなのに、

と娘を諭す母の
ビデオレターがあって、

これは2011年に
発表されたようですが、

いわゆる昨今の
キャンセルカルチャーを
批判しているようで、

その通りだよなと
共感しました。


ということで、
非常に有意義な読書体験でした。

以前「紙の動物園」は
読んだことがあり、

その時は
SF小説という先入観が強くて、

思ったより情緒的な話だった
というような感想だった
記憶があるのですが、

もちろんSF的な知識や手腕はあるけれど、
彼にとっては、物語を描くことが、
もっと重要なのかなと勝手ながら
感じました。

「紙の動物園」の再読も含め、
他の作品も読みたい。

激推しです。


あとさ、変な話、
著者のルックスが好きでさ…。
好きな顔してるの。うふ。



12
暇と退屈の倫理学
國分 功一郎著


さまざまな哲学者や
批評家などの考えをひいて
暇と退屈について、
分かりやすく
まとめてくれている一冊。

現代を生きるということは
暇と退屈と闘うことであり、
その武器は考えること、
さらにはその過程なのかな、と。




13
瞬間
ヴィスワヴァ・シンボルスカ



すべて、というのは―
かましく、うぬぼれで膨れ上がった言葉だ。
書くときは引用符でくくってやらなければ。
何ひとつ見逃さず
集めて抱え込み、取り込んで持っているふりをしている。
ところが実際には
暴風の切れ端にすぎない。

   ――すべて


想像より素直というか、
シンプルな詩が多かったです。

といっても、
内容が薄いというのではなく、

現代詩を読む時のような、
言葉を切り貼りして
面白い効果を生むような感じじゃない
というか…
(それも個人的には嫌いじゃないけど)

著者の一番有名な
「終わりと始まり」も読んでみたいです。



ということで、
今月読み終えたのは3冊のみ。

仕事はきっちりいただきながら、
もっとたくさん読みたいな。

このペースだと
洋書5冊やハイスミス読破といった
読書目標が難しくなってきました。

しかし、自分が勝手に決めた目標に
振り回されるのっていったい…。